フィルター設定
以下の
config.yml
の記述例は,0.12.0
以降でのみ有効です.これより古いバージョ ンでのフィルターの記述方法については,GitHubの履歴を確認してください.
EPGデータの取得が完了すると,特定サービスのTSストリーミングが可能となります.
# mirakcコンテナーをバックグラウンドで起動
$ sudo docker compose up -d
Starting mirakc ... done
# 最初のサービス(NHK総合1)のIDを表示
$ curl -s http://localhost:40772/api/services | jq .[0].id
3273601024
# NHK総合1のTSストリーミングを実行(Ctrl+Cで停止)
$ curl http://localhost:40772/api/services/3273601024/stream?decode=0 >/dev/null
% Total % Received % Xferd Average Speed Time Time Time Current
Dload Upload Total Spent Left Speed
100 16.8M 0 16.8M 0 0 1578k 0 --:--:-- 0:00:10 --:--:-- 1725k
1.0.29
以前では,decode
クエリーパラメーター未指定時の動作がMirakurunと異っていました. mirakcはdecode=1
を指定したときのみデコードしていましたが, Mirakurunはdecode=0
を指定したときのみデコードしないようになっています.
しかし,今の設定のままでは,TSストリームをffmpeg
で変換したりすることはできません.なぜならば,フィルターが設定されていないためです.
フィルターは,TSストリームを標準入力から受け取り,処理後のTSストリームを標準出力に出力する外部プログラムです.mirakc自体にはこのような機能は実装されておらず,フィルター設定で指定された外部プログラムにTSストリームの処理を委譲します.
フィルターの動作を確認するため,以下のような設定を行ってみます.
config.yml
:
filters:
decode-filter:
command: >-
echo "{{{channel_type}}}/{{{channel}}} SID#{{{sid}}}"
設定反映のためmirakcコンテナーを再起動し,動作確認します.
# mirakcコンテナーを再起動
$ sudo docker compose restart
# decode-filter付きTSストリーミングを実行
$ curl -s http://localhost:40772/api/services/3273601024/stream?decode=1
GR/27 SID#1024
TSストリームをチャンネル情報に置き換えることに成功しました.
なお,filters.decode-filter
は,Mirakurunのtuners.yml
でのdecoder
に相当する設定です.
フィルターの動作確認も終了したので,実用的なフィルターを設定してみます.
filters:
# Chinachu/Mirakurunの設定例より
decode-filter:
command: >-
arib-b25-stream-test
また,以下のように外部サーバーでTSストリームを処理し,その結果をクライアントに返すことも可能です.
filters:
decode-filter:
# 標準入力から入力されるTSストリームをリモートホストtsdのTCP 40773ポートに転
# 送し,tsdから返されたTSストリームを標準出力に出力
command: >-
socat - tcp-connect:tsd:40773
socatは,配布しているmirakc/mirakc
イメージにも含まれているツールです.詳しい説明はリンク先を見るかGoogle先生に教えてもらってください.
filters
プロパティーはチューナーごとに設定するのではなく,すべてのチューナーに対して共通で利用される設定です.そのため,特定のチューナーに対して特別な処理を行いたい場合は,渡されたテンプレートパラメーターを利用して処理を分岐するようなスクリプトを作成し,これをフィルターとして設定する必要があります.
試しに,以下のような簡単なbs-not-supported
スクリプトを作って,動作を確認してみます.
#!/bin/sh
CHANNEL_TYPE="$1"
CHANNEL="$2"
if [ "$CHANNEL_TYPE" = "GR" ]; then
echo "$CHANNEL"
else
echo "BS not supported"
fi
config.yml
:
# 変更部分のみ記載
filters:
decode-filter:
command: >-
bs-not-supported {{{channel_type}}} {{{channel}}}
docker-compose.yml
:
# 変更部分のみ記載
...
volumes:
- mirakc-epg:/var/lib/mirakc/epg
- ./config.yml:/etc/mirakc/config.yml:ro
# 忘れずに`chmod +x bs-not-supported`しておくこと
- ./bs-not-supported:/usr/local/bin/bs-not-supported:ro
...
以下のように表示されれば,bs-not-supported
スクリプトは機能しています.
$ curl http://localhost:40772/api/channels/GR/27/stream?decode=1
27
$ curl http://localhost:40772/api/channels/BS/BS15_0/stream?decode=1
BS not supported